Characteristics of "Gensan's Honey"

【源(げん)が養蜂を始めた経緯】

 始まりは2019年春。知人の紹介で茨城県北部に位置する御前山を訪れる機会があり、その麓に住む方から、創業者の源(げん)が一群のニホンミツバチを巣箱ごと譲り受けることになりました。

 長年の夢が叶った喜びの瞬間でした。譲っていただいた一箱のニホンミツバチ群を、現在の拠点となる筑波山麓へ連れて帰りました。初めは趣味の範囲で育て始めましたが、ニホンミツバチの可愛さ・健気さに惹かれ、蜂達にとって住みやすい環境を追求するために、いつの間にか試行錯誤を繰り返していました。その積み重ねが「源さんのはちみつ」の原点です。

 源は、40年以上前から樹木を育てることをライフワークとしてきました。敷地では梅・柿・栗・松・林檎・ブルーベリー等、50種類以上の樹木や果実を育てながら、近隣地域の樹木の世話を行ってきました。その経験を、日本固有種で絶滅が危惧されるニホンミツバチの保護に活かせないかと、長い間考えていたのです。
 幸いにも周囲は筑波山の大自然、鬼怒川等の一級河川、里山群の山林に囲まれていることに加え、蕎麦・栗・梨の生産が盛んである等、養蜂にぴったりの条件が揃っており、おかげで蜂達は環境に順応し、自然豊かな土地を活発に飛び回っていました。

ニホンミツバチの里である筑波山の大自然

 それでも当初は、蜂達が巣箱を気に入らない、猛暑で巣板が落ちる、オオスズメバチの襲撃に遭う、越冬できずに群が壊滅する等、トラブル続きで逃居されることも頻繁にありました。そうした問題が起きる度に、原因と対策を考えながら蜂達にとって住みやすい環境を真摯に追求してきた結果、知見も蓄積され、ニホンミツバチの蜂蜜の生産量を少しずつ増やせるようになって参りました。

 

【ニホンミツバチの養蜂技術探求の日々】

 養蜂を始めて間もない頃、縁あって地元高校生の課外研究活動の一環である養蜂活動をサポートをする機会をいただきました。数年間にわたり彼らと密に関わる中で、生態系におけるニホンミツバチの役割の重要性、生息環境が減るニホンミツバチを保護する必要性、そして養蜂技術の奥深さを学び、花粉媒介昆虫の役割や生態に関する調査研究に徐々にのめり込んでいきました。

 中でも、つくば国際会議場で定期開催されている「ミツバチサミット」への参加は一つのターニングポイントになりました。
 高校生によるニホンミツバチ養蜂の研究・実践を源が惜しまずに支援していると、高校生を指導しておられた農研機構国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構)の研究員の方々や、つくば養蜂研究会の方々と知り合うきっかけとなりました。そうした皆様との交流や研究会を通じて得られた知識を即座に実践することで、それまで手探りで得てきた養蜂の知見を徐々に体系立てて理解できるようになりました。皆様からは、現在も継続して養蜂の研究と技術向上のためのご指導を賜っております。

源さんのはちみつがニホンミツバチ講習会に参加

 日本には、セイヨウミツバチの蜂蜜を中心に取り扱われている、創業100年を超える養蜂事業者がいくつもありますが、「源さんのはちみつ」は2019年に養蜂を始めたばかりのベンチャー養蜂場です。そんな私たちが最高のニホンミツバチの蜂蜜作りのために大切にしていることは、温故知新(古きを温ねて、新しきを知ること)です。
 歴史を遡ると、飛鳥時代には既に養蜂は一定の規模で開始され(出所: 日本書紀)、現在では養蜂の方法論をまとめた書籍やウェブサイトが多く存在します。私たちも、まずはそうした基礎知識を得て、実践を繰り返してきました。しかしその中で、最高のニホンミツバチの蜂蜜を生産する上で、教科書的な知識のみでは不十分だと分かってきました。養蜂技術自体がまだ発展途上であることに加え、結局のところ個々の蜂群の状態に合わせた丁寧な環境作りと日々の改善が欠かせないためです。
 規模と効率では歴史のある養蜂事業者にまだ敵いませんが、ニホンミツバチへの強いこだわりと日々の養蜂技術・品質の追求により、「源さんのはちみつ」ならではの皆様から愛される蜂蜜を生産して参ります。

 

【オンラインショップ開設の背景】

 これまでは生産量に限りがあり、個人間売買サイトでの販売に留めていました。源の蜂蜜をお買い上げくださるお客様は、皆様、健康意識が高いだけでなく、知的でお人柄が良い素敵な方々ばかりです。おかげで源も、蜂蜜の販売を通じて皆様から元気を頂きながら頑張ることができています。

 同時に、当然私たちは消費者としても蜂蜜が大好きですので、これまでに多くの養蜂事業者・個人養蜂家の方々から品種を問わず蜂蜜を購入してきました。その中で見えてきたことの一つは、本物の蜂蜜に辿り着くには相当な時間と労力がかかる、ということです。
 確かな技術で養蜂を行い、素晴らしい蜂蜜を生産販売されている養蜂家さんもいれば、品質よりも効率を重視した養蜂・仕入れ販売をされている事業者さんもいます。例えば、産地直送系のECサイト等では、出品者は売上の10〜20%の手数料を支払う必要があり、商品価格をかなり割高に設定せざるを得ないなど、オンライン売買が主流の時代に価格に見合う良質な蜂蜜を見つけることは簡単ではありません。特に、ニホンミツバチの養蜂事業者は少なく、個人養蜂家さんが多い中で、「商品説明の信憑性」「生産管理」「食品衛生」といった面で本当に信頼できる養蜂家さんをどう見極めれば良いか、消費者目線では見えないことがあまりに多いのです。

 そうした複雑な想いが募り、一念発起。源の蜂蜜を喜んでくださる一人でも多くの方へ、ニホンミツバチの里である筑波山の麓から、自然なままの生蜂蜜をお届けしたい一心で養蜂業を立ち上げ、オンラインショップ開設に至りました。ニホンミツバチの蜂群を増やすことは、地域の生態系や農作物への貢献にも繋がります。人に、環境に優しい養蜂家として、これからもライフワークとして「源さんのはちみつ」を生産して参ります。

 

【私たちの「ニホンミツバチの生蜂蜜」について】 

 源の蜂蜜の特徴は、濃厚でコクや深みのある味わいです。濃い色の蜂蜜は、蕎麦や栗の花蜜を多く含み、黒糖風味がいたします。他にも四季折々の豊富な蜜源植物のおかげで、色は漆黒色から浅黄色まで、味は濃厚でコク深いものからフルーティで酸味のあるものまで、多様です。

 源の蜂蜜をご購入いただく際は、ニホンミツバチの蜂蜜が初めての方は浅黄蜜・黄金蜜・琥珀蜜などの比較的薄い色から、蜂蜜上級者の方は漆黒蜜・深茶蜜をお選びいただくと良いかもしれません。

 また、注意点が2点ございます。結晶化と発酵です。
1. 結晶化について:天然の生蜂蜜は低温で固まることがございます。これは、蜂蜜に含まれる糖の一種であるグルコースの結晶化による影響で、品質に悪影響はございません。中には、むしろ結晶化した蜂蜜を探している方もおられるくらいです。とはいえ、用途の関係で結晶化した蜂蜜を再び液状に戻されたい場合には、40〜50℃で容器の下半分を湯煎されると結晶化の度合いは緩和されます。

2. 発酵について:ニホンミツバチの生蜂蜜はセイヨウミツバチの蜂蜜と異なり、自然発酵します。発酵自体は体に悪いものではなく、むしろ良質なアミノ酸を多く含むことが報告されており(Takahashi, 2022)、敢えて発酵させた蜂蜜を販売する養蜂家さんもいます。注意点は、瓶詰めした後に発酵が進み、瓶の中で泡立つ場合があることです。その場合、瓶の蓋を開けて気圧差を解消してください。また、発酵による泡立ちを緩和するには冷蔵保存が有効です。

 

【レビュー(口コミ)について】

 このオンラインショップは2025年4月に開設したばかりですので、まだレビューが多くありません。これまでに別の個人間売買サイトでお客様から頂いた、数百の心温まるレビューを本サイトへ転載することも考えましたが、それを敢えてしておりません。今回のオンラインショップ開設は、私たちが自力でニホンミツバチの養蜂を行うスタート地点と捉えているためです。これから品質にこだわり抜いたニホンミツバチの生蜂蜜を生産していく中で、改めて皆様の率直なご感想を頂きたく、商品をお召し上がりいただいた際には、是非レビュー(口コミ)の投稿をお願いできれば大変嬉しい限りです。

 

「源さんのはちみつ」を通じて、皆様の自然で健康的な生活に、小さな感動を添えられることを切に願っております。

 

2025年3月31日 記